TANNOY HPD385、Westminsterユニットなど同軸ユニットのエッジ貼り替え、オーバーホール(6月のスピーカーユニット修理記録)

先月の JBL の38㎝(15インチ)ウーハー、2231A、2235H などのウレタンエッジ貼り替えのご紹介に引き続き、6月は HPD385 や Westminsterのユニットなど、TANNOY のユニット修理のご紹介です。

TANNOYといえば、同軸ユニットですね。
TANNOYではデュアル・コンセントリックと表現しています。

当社レリックではオーディオラボオガワ時代からとてもたくさんの TANNOY ユニットの修理をご依頼いただいています。
レリックとしては、6月は 8セット修理させていただきました。
HPD385、HDP295、Westminsterのユニット、3LZのユニット…などなど。

同軸ユニットの構造は、高域と低域でひとつの磁気(=マグネット)を共有していて、高域周波数と低域周波数が同じ軸上から放射されます。
これにより、同軸ユニットは定位感に優れているという特徴があります。

お客さまからのご依頼は「エッジの貼り替え」や「オーバーホール」です。

ご依頼いただくTANNOY 同軸ユニットの状態

以下、わかりやすさを重視し、複数個体の写真が混ざっています。またお客様のお名前部分にぼかしを入れています。

HPD385 エッジが劣化しています
HPD385 磁気カバーを開けた状態。高域のダイヤフラムが出現
HPD385 高域の磁気 ギャップの中までかなり酸化しています
HPD385 低域の磁気 こちらは赤錆が顕著です
3839M フェライトの磁気も酸化物で覆われています
3839M 高域側ボイスコイル酸化
HPD385 低域側ボイスコイル酸化(本来赤い被覆の線が、片側は青緑に酸化)
HDP385 エッジ外周の金具 こちらも赤錆が!
Westminsterユニット コネクタ部 酸化、変形しています

ネットワークとの接続コネクタがこのような角型コネクタの場合、コネクタコンタクトが変形、酸化しているものが多く、接触不良を引き起こす原因となりますので交換します。

TANNOY の同軸ユニットは1本で2本分のオーバーホールとなり、また当社でお預かりするTANNOY ユニットはかなり酸化が進んでいる個体が多く、オーバーホールには非常に手間と時間がかかります。

「購入から40年手を入れていないけど何とかなるかな?」
「ずっと鳴らしていなかったが、これからまたゆっくり聴きたい」
そんなお客様のご期待に沿えるよう、当社でのオーバーホールを機にこれからも長くお使いいただけるように修理させていただきます。

当社オーバーホール、修理後

以下はオーバーホール後の写真です。

高域側 磁気 ギャップ内まで酸化物を除去し防錆処理を施します
低域側 磁気 こちらもきれいになりました
エッジも貼り替え、金具の赤錆も除去
低域側、高域側それぞれ動作調整を行い、全体の音を確認し、外観の仕上げをして修理完了
Westminsterユニット コネクタ部 交換完了

当社で TANNOY の修理に使用するエッジは、エッジ専門の業者さんと相談しながら TANNOY のタノプラス・サラウンドというエッジを目指し、材料を選定し、起型し、専門の業者さんに作っていただいているエッジです。
オーディオラボオガワ時代から15年の使用実績があります。

TANNOY の古いスピーカーには、現代のスピーカーにない音色、佇まいがあると思います。
そばに置いているだけで心が豊かになるようなスピーカーですよね。
これからも美しい音色をお楽しみいただけることを願い、1本1本丁寧に修理させていただきます。

1本あたりの一般的な修理価格

  • TANNOY HPD385(コネクタが丸い形状のタイプ) 修理一式1本 64,500円(税抜)
  • TANNOY 3828、Westminsterユニットなど(コネクタが四角いハウジングのもの) 修理一式:1本 68,500円(税抜)

磁気の酸化程度、各部劣化状況などにより、上記一般的な修理価格より加算となる場合がございます。正式なお見積りは現物確認後にご案内いたします。

簡単に梱包できる輸送箱もございます。ご依頼品の梱包 をご参考ください。

1本で高域と低域2本分の作業となりますため、修理完了までお時間をいただく場合がございます。ご理解、ご協力いただければ幸いです。

修理のご相談、輸送箱のご用命はお気軽に お問い合わせ よりお寄せください。