当社の修理で使用するエッジのお話

スピーカーユニットで使用されるエッジにはさまざまな素材があります。
ウレタン、ゴム(ラバー)、エスマー、革、布…など。
コーン紙からそのまま紙素材が続いているものもあります。
素材により音質、メンテナンス性、耐久性、外観などが異なります。

そのような中、当社の修理ではできるだけ 製造メーカーが選定した素材と同じ素材のエッジ を使います。

これは当社の修理のポリシーのひとつ「オリジナリティーの尊重」にあたります。

私たちは、スピーカーの部品や素材はすべて、メーカーが目指す特性やバランスを実現するために選定したものと考えています。メーカーが多大なる情熱を注ぎ、研究と挑戦を重ねて開発したスピーカーを、私たちが安易に改造することはいたしません。

ほとんどの場合、当社の修理で使用するエッジは、当社ならびに当社の前身オーディオラボオガワが起型し作成したエッジです。JBL、TANNOYをはじめとした下記の例のような一般的なエッジは当社でご用意しております。

何かを変えれば、音は変わります。
その変化の割合をできるだけ少なくし、メーカーが目指した音を”甦らせる”ことが、私たちの修理方針です。そしてそれがお客さまお一人お一人の美しい思い出が甦ることにつながれば…と思っています。

「アルバイト代をためて山手線で買いに行った宝物の TANNOY を修理したい」
「社会人になって借金をして手に入れた YAMAHA の NS-1000M をメンテしたい」
「いずれ JBL を孫に譲りたい」
「エンクロージャーの傷やシミは家族の思い出だから消したくない」
「つぶれたセンターキャップは愛犬が子犬だった頃のかわいいいたずらの痕跡」
「リタイアを機に若い頃欲しくてたまらなかったスピーカーを手に入れたのでオーバーホールしたい」
「亡くなった恩師が残してくれたスピーカーを万全の状態で鳴らしてあげたい」

お客さまからスピーカー修理をご依頼いただく際、私たちはたくさんの想いをお聞かせいただきます。
そのたびに、スピーカーはただの機械、道具ではないことを実感します。

以上が、メーカーが目指した音と、お客さまの想い出の両方を甦らせる修理を目指し、当社が可能な限りオリジナルに近い素材のエッジを採用している理由です。

※特殊な加工・サイズなどによりオリジナルと同素材の適合エッジが入手できない場合もあります。その場合は、お客様にご報告の上、別素材のエッジで交換させていただきます。