今回は ALTEC のネットワーク N501-8A の修理をご紹介します。

当社ではユニット、ネットワーク共に修理のご依頼が多い ALTEC 社の製品ですが、これは 416-8A (ウーファー) 、808-8A (ドライバー)、511B (ホーン) などと共に A7-500-8 へ組み込まれたネットワークです。

クロスオーバー周波数は500Hz。 
上部アッテネーターで高域側の帯域を10db減衰調整をおこなうことができます。

お預かりした ALTEC N501-8A。

今回はご依頼主さまである三重県のHさまのご承諾を得て、2021年6月に実施した実際のオーバーホールの工程をご紹介いたします。

Hさまからは修理品発送後「問題が改善し、レコードをたくさん聴いている」との嬉しいお言葉と、当社ウェブサイトでの掲載についてご快諾を頂き、修理をした者にとりまして非常に励みになりました。Hさま大変ありがとうございました。

お預かりする際の不良内容は、アッテネーターのガリならびに片側の音が途切れ、アッテネーターを触ると改善したり再発したりする、といったものでした。

動作チェックを行うと、初期状態で片側高域が出力していません。
アッテネーターを何回も回すと出力が復活します。どうやらアッテネーターの接点が一部接触不良になっているようです。
また、回すたびに両方ともザリザリとノイズが乗ります。
高域、低域ともに左右の音圧差も大きく発生しています。

さっそく、背面のケースを外し内部を確認します。

背面ケースを外した ALTEC N501-8A。目視でも右上にコンデンサーの析出物が確認できます 。

この状態で内部素子をチェックすると、案の定コンデンサーの容量が大きく異なっています。
以前ご紹介した ALTEC 604-8G 用ネットワーク でも起きていた症状です。

やはり ALTEC 社のネットワークで使われている赤-黒のコンデンサーは経年劣化でこのような現象が発生する傾向にあるようです。

修理では、コンデンサーを左右共、全て代替品へ交換します。
基本的に異常がある場合、例え片側のみが劣化していたとしても素子は左右を合わせて同じものへ新規交換します。左右別々の素子を使用し、その違いで左右の音質が変わってしまうことを防ぐためと、異なる経年変化で左右のばらつきが発生することを防止するためです。

ガリが発生しているアッテネーターも新規代替品へと交換します。この場合、形状を合わせるためフレームの加工が必要になります。
また中央部にあるラグ板も収まらないようです。スペーサーの延長が必要です。

ALTEC N501-8A から取り出した不良コンデンサー。

こちらが取り外したコンデンサーですが、やはり内部から漏れたと思われる析出物があります。
見えにくいですがリード線にも緑錆が発生しています。

ALTEC N501-8A のフレームを一部カットして、新品のアッテネーターを取り付けました。

フレームを加工しアッテネーターを取り付けました。
スペーサーも延長し何とか箱内に収めています。内部はパンパンですがきちんと収まりました。

アッテネーターを交換した N501-8A の内部の状態。

本来は2個並んで取り付けてあったコンデンサーですが、スペースの問題で同位置に取り付けることができず…。上部に使われていない固定穴がありましたのでそこに固定し、上下に重ねて取り付けました。
苦肉の策ではありますが、きっちり計算通り収まってくれると非常に嬉しいです。

素子の交換が完了した N501-8A。

全ての不良素子を交換しました。
みっちり詰め込まれていますが、配線はショートを起こさないよう必要な個所に絶縁対策を行っています。
特にケースが金属製の場合、そこに線が触れたり、端子が当たっていたりするとそこからショートしますので内部配線被覆に破損がないかなど細かくチェックし、破損があった場合は補修をしていきます。

修理が完了した N501-8A。

修理完了品です。
ターミナルもクリーニングし、接点もきれいに改善しています。

この後、実音チェック、エージングに入ります。
エージング後、再度動作チェックを行い、経時による問題再現がないことを確認して修理完了です。

今回の実例ではネットワークが実際に劣化を起こしている例を具体的にご紹介できたと思います。
ネットワーク単体でのチェック、オーバーホールはもちろん、ユニットをお預かりする際に合わせてネットワークも同様に確認、オーバーホールをご検討ください。

興味をお持ちいただきましたら、お気軽にお問い合わせください。


ALTEC N501-8A ネットワーク 1本の修理概算価格

基本修理:不良素子交換、半田打ち直し、劣化端子交換、動作調整 一式 16,000円(税込 17,600円)
※交換部品代は別途 20,000円程度 かかります。

ネットワークは左右のペア調整が必須のため必ずペアでのお預かりとなります

そのため、修理概算価格は 16,000円×2本=32,000円、さらに交換部品代 20,000円程度が加わり、
合計52,000円(税込57,200円)程度となります。

※価格は部品代、パーツ作成費などの影響で予告なく変更する場合があります。
※個々の状態はさまざまですので正式なお見積りは現物確認後にご案内します。