新潟県からご依頼いただいた ALPINE Z18W 車載用ウーハーの「音出ず」の修理をご紹介します。
今回のユニット修理の大きなポイントは2つ。
1つは当社でも多数実績があるScanspeakのユニットの断線と同様の断線があったこと、もう1つは磁気ずれを起こしていたことです。
断線修理
1つめの断線から見ていきます。
原因となっていたのは、コーン背面の「ボイスコイル引出線」と「モール線」の接点の酸化です。
今回ははっきり目視できるほど、ボイスコイル引出部が腐食し、モール線に緑青が見られました。
ボイスコイル自体は生きていましたので、再引出とモール線交換で導通を得ることができました。
この症状は WilsonAudio、Sonusfaber、TAOC などのスピーカーに搭載されている Scanspeak のユニットによく見られます( SCANSPEAK系 スピーカーユニット修理実例と価格(2023年修理)をご覧ください)。
磁気ずれ
2つめの磁気ずれは、経年により磁気各部を固定していた接着剤が劣化したことが原因です。接着剤が劣化し、ギャップに偏りを生じさせていました。
磁気の酸化具合から見ても、接着が脆くなっていることは想像できます。
磁気ずれの修理では、磁気回路を脱磁(磁力を抜く)し、磁気調整(磁気回路を組み立てる)し、再着磁(磁力を入れる)を行います。再着磁後はペアで極性と磁束密度が揃っているかを確認します。
磁気ずれしていた個体も、ギャップを均一にすることができました。
磁気ずれの修理とオーバーホールが完了したペアです。
ギャップ内の酸化も丁寧にクリーニングしました。
なお、断線も磁気ずれも経年劣化によるものですので、音が出ていた個体も合せてペアで同様の修理をさせていただきました。
このウーハーペアは、15年ほどご愛用とのこと。
これからもまた長くご愛用いただければ嬉しいです。
お気に入りの音楽を聴きながら新潟県のきれいな海沿いドライブされたりするのかな…と想像しています。
車用のスピーカーユニットも、ボイスコイルなど部品に致命的な問題がなく、分解できる構造であれば修理は可能です。
お困りの方は お問い合わせ ください。
ALPINE Z18W 音出ず 1本の修理概算価格
基本修理:ボイスコイル再引出、リード線交換、磁気回路オーバーホール、動作調整 一式 39,000円(税込 42,900円)
※価格は予告なく変更する場合があります。
※ユニット個々の状態はさまざまですので正式なお見積りは現物確認後にご案内します。
※今回は脱磁・磁気調整・再着磁、ならびに酸化重度の加算などがあり、総額はペアで158,000円(税込173,800円)程度でした。