JBL 4311、L26、4301 といった人気のスピーカーに搭載されているツイーターユニットの修理をご紹介します。
ユニット名は L25ではじまり、そのあとに-1、-2,… -4などと続くLE25系と、LE26があります。モデルによりユニット前面の仕様が若干異なりますが、いずれも修理は可能です。
小さなツイーターユニットですが、実は年間20本程度のご依頼をいただいている当社の常連モデルのひとつです。
主なご相談の内容は「音がでない」というものですが、加圧をしたり、過大入力をしていなくても音が出なく場合は、経年劣化による断線です。仮に断線していない個体でも、ボイスコイル引出部が酸化しているため、当社の修理ではリコーン(コーン紙交換)が基本となります。そのため原則、ペアでのお預かりとなります。
では、まずはお預かり時の写真から。
音は出ていません。前面のウレタンは消失し、センターキャップは潰れ、コーン紙は退色し大きなシワも見られます。このような状態でもリコーンで修理ができます。
こちらは LE25-4。一見きれいですが、こちらも音が出ません。コーン紙の退色から、製造後かなりの時間が経過していることがわかります。前面ウレタンは比較的劣化しづらいタイプです。また前面フランジの形状が若干異なりますが、同様にリコーンが可能です。
コーン紙を剥離してみましょう。
ボイスコイルの引出部はこのように非常に細く、経年劣化で酸化していきます。
また個体により、ダンパーの接着にアクリル系の接着剤が使用されているものもあります。この場合は、上の写真のようにきれいに剥離することはできず、ダンパーを切除するしかありません。いずれにしてもリコーンの修理となります。
磁気も酸化し赤さびが発生していますので、丁寧にオーバーホールします。
リコーン用の部品はこちら。
JBL からの部品供給は完了していますので、当社で独自に作成している部品を使用します。これは当社の前身オーディオラボオガワ時代に国内の専門業者さんと一緒に作ったパーツで、代替品とはなりますが、みなさまに喜んでいただいています。
片手に乗るほどの小さなユニットのため細かい作業が多くなりますが、接着不備や接着ずれが発生しないよう丁寧に、そして硬化時間をしっかりとって作業していきます。
磁気の方も酸化物を除去し、防錆処理を施します。ボイスコイルが収まるギャップ内にわずかな異物があるだけでビリツキが発生しますので、丁寧にオーバーホールを行います。また導通改善のために端子をクリーニングし、リベットを半田で固定します。
ここまでの準備が整ったら、ようやく動作調整の段階です。磁気にコーン紙をセットし、センターを出し、しっかりと接着、硬化させます。その後、正常に動作することを確認したらセンターキャップや前面ウレタンを接着し、修理完了となります。
修理完了品はこちら。
お客様には新品のようだと喜んでいただいています。
修理が完了したら、最低2日間のエージングチェックにて経時変化がないことを確認し、オーナーさまへお返しとなります。
当社の修理が、JBL の銘スピーカー復活の一助となればうれしいです。
スピーカー修理のご相談は お問い合わせ からお願いいたします。
当ツイーターを搭載している JBL 4311A の修理実例 もご覧ください。
JBL LE25系、LE26系ツイーター 1本の修理概算価格
基本修理:代替品によるリコーン、磁気回路オーバーホール、動作調整 一式 47,000円(税込 51,700円)
※価格は予告なく変更する場合があります。
※リコーンを伴うため原則ペアでのお預かりとし、修理概算価格は47,000円×2本=94,000円(税込 103,400円)です。
※ユニット個々の状態はさまざまですので正式なお見積りは現物確認後にご案内します。