1983年発売の3WayスピーカーTechnics(テクニクス)SB-M3 のウーハー修理です。
Technics(テクニクス) はパナソニックのオーディオブランドですね。
このスピーカーは振動板が特徴的で「ハニカムディスク平面振動板」というそうです。
他にもめずらしい点があるウーハーユニットですので、修理実例としてご紹介します。
三重県のO様よりお預かりしたユニットで、ご依頼内容はオーバーホールとエッジ貼り替えです。
さっそく、外観から確認していきましょう。
画像はユニットを伏せた状態です。
エッジはすでに劣化して消失しています。
磁気の外周、フレームにも酸化が目立ちます。
端子はファストンですね。振動板の様子もよく見えます。
振動系を剥離し、磁気内部も確認します。
やはり内部も酸化しています。
ボイスコイルが収まるギャップの中にも酸化物が落ちてしまっています。
ギャップ内の酸化物や異物は、ごく小さなサイズでも「ビリ付き」や「ひずみ」となって音に現れますので、クリーニングが必要です。
まれに「エッジだけ交換すればOK」というお声も聞きますが、このような状態をご覧いただくとオーバーホールの必要性をご理解いただけると思います。
また、ユニットを外から見て酸化、錆が見えるときは、ほとんどの場合、内部も同様の状態です。お手持ちのユニットのオーバーホールをご検討の際や、中古品をお求めの際はひとつの参考になると思います。
次に、抜き取った振動板はこちら。
コーンだけでなく、ダンパーも変わった構造ですね。
エッジの劣化と各部酸化以外は大きな問題はありませんので、さっそく修理に入ります。
まずはオーバーホール。
すべてきれいにクリーニングしていきます。
磁気は内外ともに酸化物を落とし、しっかりと防錆処理を施します。
導通改善のため端子もクリーニングしました。
振動板の方も、古いエッジの残骸を丁寧に除去し、新しいウレタンエッジを貼ります。
磁気、振動系のオーバーホールが終わりました。
ここまで準備ができたら、振動系を磁気回路に戻し、発振器で動作を確認しながら各部を接着していきます。
エッジ貼り替え、オーバーホール、動作調整の修理が完了しました。
各部の接着剤が十分に乾いたら、経時変化がないことを確認するため、ここから最低2日は音楽を鳴らします。
その後、あらためて発振器で動作を確認し、お客様へお返しさせていただきます。
当社でお預かりするほとんどのスピーカーユニットでは、純正の振動板の入手は困難です。そのため、今のオリジナルパーツ(特にボイスコイル)をいかによい状態で保持するかという視点がご愛用のスピーカーを長持ちさせるポイントだと思います。
純正パーツに致命的な問題が起きる前に、オーバーホールをお勧めいたします。興味をお持ちいただきましたら、お気軽にお問い合わせください。
Technics EAS-33PL08S (SB-M3) 1本の修理概算価格
基本修理:ウレタンエッジ貼り替え、磁気回路オーバーホール・防錆処理、動作調整 一式 33,500円
※価格はパーツ作成費などの影響で予告なく変更する場合があります。
※ユニット個々の状態はさまざまですので正式なお見積りは現物確認後にご案内します。