口径36センチ(14インチ)、白いコーンが特徴的な JBL のウーハーユニットLE14Aです。
ランサー101(L101、Lancer101)などに搭載されています。
初期はランサロイエッジでしたが、後期はウレタンエッジに変わっていきました。
この度は新潟県からお預かりした個体を例に修理内容ご紹介します。
一般的なユニットのオーバーホールはこのLE14Aと同様の工程となります。
当社でお預かりしたユニットは、まずは外観確認、写真撮影、動作確認(音の確認)、フェイズ確認を行います。そしてビリ付きや歪などの異常音がある場合は、その原因はどこにあるかを確認しながら分解していきます。
分解し磁気回路を露出したら、ギャップ内で磁束密度を測定します。磁束密度が低下していないか、あるいは左右でバランスが崩れていないかを確認し、必要に応じて着磁をご提案しています。
では、さっそくお預かりした状態を確認します。
まず、ウレタンエッジが経年劣化で消失していて、フレームも経年で黒ずんでいることがわかります。コーン紙はウレタンの汚れが付着していますがきれいですね。
ターミナルはJBL純正のコンシューマータイプ。この小さなターミナルは経年でひび割れや亀裂が生じているものがあります。音が途切れる、音が出なくなったというような場合は、念のためターミナルに破損がないかをご確認いただければと思います。
ターミナルの奥に見える黄色い部分は金属なのですが、酸化物が表面を覆っているため黄色く見えています。磁気はアルニコです。
外観を確認したら、コーン紙を抜き取って内部を確認します。
磁気内部も同様に、黄色い酸化物が確認できます。ボイスコイルが収まるギャップにズームしていくと…
ギャップ内も酸化していることがご覧いただけると思います。ギャップ内の酸化物や異物はごく小さなものでもビリ付きの原因となります。また酸化物や異物がボイスコイルと擦れることで、ボイスコイルを傷つけてしまいます。そのため磁気回路オーバーホールは非常に大切な工程となります。
通常はこの段階で、ギャップ内にプローブという細い機器を挿入し、磁束密度を測定します。
次は、抜き取った振動系の方を確認します。
ボイスコイルにも酸化物が付着し、擦れたあとの傷がありますが、大きな問題はなくボイスコイルを温存した修理ができます。ダンパーやモール線も問題ありません(個体によりダンパー交換が必要な場合もあります)。
以上により、この度の修理内容は「ウレタンエッジ貼り替え」「磁気回路オーバーホール」「動作調整」となり、追加で「フレーム再研磨」もご用命いただきました。
お客様に修理内容と費用をご説明しご承諾をいただいたら、磁気回路オーバーホールに入ります。
古い接着剤や酸化物を除去し、防錆処理を施しました。この工程をしっかり行わないと、後でビリ付きが出たり、動作調整が難しくなったりするため丁寧なしごとが求められます。ターミナルとラグもひとつずつクリーニングし、ターミナル固定ビスは交換しました。
また、フレーム再研磨により、黒ずみもなくなりきれいになりました。
あとはコーン紙に新しいウレタンエッジを貼り、各部を接着しながら動作調整を行います。
振動系を固定する接着が完全に乾いたら、改めて動作チェックをし、その後最低2日間のエージングチェックで経時変化がないことを確認します。ここまできたら、お客様へ修理完了のご報告となります。
このように年式の古いユニットでもしっかりメンテナンスすることでまだまだお使いいただけます。
貴重な純正パーツに致命的な問題が起きる前に、オーバーホールをお勧めいたします。興味をお持ちいただきましたら、お問い合わせください。
JBL LE14A 1本の修理概算価格
基本修理:ウレタンエッジ貼り替え、磁気回路オーバーホール、動作調整 一式 33,500円(税込 36,850円)
フレーム再研磨:基本修理に 8,000円(税込 8,800円)~ 追加
※価格は予告なく変更する場合があります。
※ユニット個々の状態はさまざまですので正式なお見積りは現物確認後にご案内します。
※フレーム研磨、着磁のみはお受けしておりません。エッジ貼り替えやオーバーホールと合わせてご用命ください。