東京都からお預かりした ALTEC(アルテック)の大型スピーカー、MALIBU(マリブ)の修理をご紹介します。かつて当社の前身オーディオラボオガワで JBL の修理をさせていただいたお客様からのご依頼品です。

レリックでオーバーホール後の ALTEC MALIBU(アルテック マリブ)
レリックでオーバーホール後の ALTEC MALIBU ペア

ユニット構成は、ドライバーが806A、ホーンがH-811B、ウーハーが414Z。ダブルウーハーです。
MALIBU の元気な音を甦らせるため、オーバーホールをさせていただきます。

まず、お預かりの状態と必要な修理を確認していきます。
写真はクリックで拡大表示します。

〇806A(ドライバー)

とてもきれいな色のドライバーと大きなホーンです。異常音ではありますが、当社のオーバーホールで解消できると判断しました。純正のダイヤフラムも温存できます。ただ、この時代の ALTEC のダイヤフラムの特徴としてリード線が経年劣化で非常に折れやすくなるため、今のうちに代替品で交換します。

〇414Z(ウーハー)

残念ながらコーン紙やエッジが破損していて、ボイスコイルの状態もよくありません(焼損の可能性)。またエッジに塗布されているビスコロイドがコーン紙やフレームに流れてしまっています。磁気は質の高いメッキできれいですが、ギャップ内に酸化物が確認できました。磁気回路のオーバーホールはもちろん、幸い代替パーツがありますので4本合わせて代替品にてリコーンします。

〇ネットワーク

左右で音圧差がありますので、不良素子を交換しペアで揃える必要があります。蓋を開けるとタール状のもので内部が埋められています。

〇エンクロージャー・スピーカーターミナル

ネジ止めのターミナルを高品質で使い勝手もよいターミナル WBT 0730PL に交換します。エンクロージャーはハカマ部分が一部脱落していますので補強が必要です。

お客様に修理の方針をご承諾いただいたら、さっそく修理をしていきます。

当社の修理では、可能な限りスピーカーを分解してオーバーホールを実施します。
ビンテージクラスのスピーカーをこれからまた少しでも長く、快適にお使いいただけるよう、ひとつひとつ丁寧に作業していきます。
ここからは、オーバーホール・修理後の状態です。

ユニット数が多くまたハカマ補強もあり、修理にお時間をいただきましたが、元気な MALIBU の復活となりました。
これからも たくさん鳴らしていただき、音楽とともに豊かな時間をお過ごしいただければ嬉しく思います。

修理のご相談は お問い合わせ よりお寄せください。輸送の手配もご相談に応じます。


ALTEC MALIBU ペアの修理概算価格

オーバーホール 一式 470,000円(税込 517,000円)程度

※価格は予告なく変更する場合があります。
※スピーカーの状態はさまざまですので正式なお見積りは現物確認後にご案内します。
※今回は WBT 0730PL へのターミナル交換、ピアノ搬送輸送費も含めると総額はペアで635,000円(税込698,500円)程度でした。