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珍しいイノウエスピーカーの16センチユニット修理をご紹介します。

レリックでエッジ貼り替え後のイノウエスピーカーユニット
レリックでエッジ貼り替え、オーバーホール後のユニット

イノウエスピーカーについては、私がご紹介することで誤解があってはなりませんので、興味のある方はぜひインターネットでお調べいただければと思います。情報は多くはありませんが、その理念や思想は理解できると思います。

当社では、このモデルは「はじめまして」のご依頼ユニットです。見れば見るほど、触れば触るほど、個性的なユニットでした。

今回の特殊事情

実は今回、同時期に2名のお客様からそれぞれエッジの貼り替えをご相談いただきました。そしてこのお二方がご友人同士ということで、お二方から様々な情報をご提供いただき、加えてアドバイスやご提案をいただきながら修理させていただきました。

当社でも当モデルの知識、修理事例などが不足していたたため、お二方とご相談させていただきながら「オリジナルの良さを残しつつ、3本の個体差はある程度ご理解いただきつつ、ウレタンエッジに貼り換え、オーバーホール・動作調整をする」という修理となりました。

3本の比較

3本をならべて比較できるのは貴重な機会です。
エッジの硬さ、ダンパーの素材および硬さ、そしてボイスコイルの巻線・巻き幅・ボビン素材などが異なっています。

ボイスコイルの芯となるボビンにアルミの空き缶を使用しているものもあり、精密に設計されたであろうコーンとの対比がおもしろいです。

磁気もフレームに丸い穴が開いているものと開いていないものがありました。穴が開いている方は、外周の活性炭の破片が内部に侵入し、ギャップ内にも落ちてしまっています。また、1本の磁気に塗布されている黒い物質は二硫化モリブデンだそうです(お客様ご提供情報)。

修理完了後の3本

磁気回路オーバーホール、活性炭除去、ウレタンエッジ貼り替え、動作調整、ダンパー補強などを実施しました。製造時の姿を取り戻すということはできかねましたが、異常音は解消され、正常な動作をするようになりました。

当社でウレタンエッジ貼り替え、オーバーホール後の3本

かつて日本で情熱をもって作られたイノウエスピーカーは、それぞれのオーナー様の遊び心、工夫する気持ち、学び続けていく姿勢に支えられ、今も存在し続けているのかもしれません。今回、お客様からは「KIスピーカーはオーディオの常識が当てはまらない」と教えていただきましたが、言うは易く鳴らすは難し…ですね。

イノウエスピーカーは個体差が大きいため、私たちがどこまでお役に立てるかわかりかねますが、ご相談がございましたら、お問い合わせ よりお知らせください。


イノウエスピーカー(KIスピーカー) 16㎝フルレンジユニット 修理概算価格

ウレタンエッジ貼り替え、オーバーホール一式:34,000円(税込 37,400円)程度

※価格は予告なく変更する場合があります。
※スピーカーの状態はさまざまですので正式なお見積りは現物確認後にご案内します。