JBL ME150H (S3100、4344Mk2などのウーハー)のエッジ貼り替え修理について

修理料金表 に JBL S3100、4344Mk2 などのウーハー ME150Hのエッジ貼り替え価格を追加いたしました。

一般的な修理価格は 1本 52,000円(税抜)です。

この修理では、ウレタンエッジ貼り替え、ダンパー交換、磁気回路オーバーホール、防錆処理、動作調整を一式としております(内部酸化、パーツの劣化などにより加算の可能性がございます)。

ME150Hというウーハーの特徴

オリジナルの JBL ME150H はコーンからエッジにかけてアクアプラス加工が施されています。

正面から見ると、がっちりとした重厚感のあるコーン、エッジになっていると思います。
このエッジは、JBL 2231A などに使われている一般的なウレタンエッジとは異なります。

しかしこのエッジも一般的なウレタンエッジと同様に劣化してくるため、当社には修理のご依頼が多数届いています。

JBL ME150H アクアプラス加工されたエッジが劣化した状態

また、もうひとつの特徴として一般的な 2231A などのJBLのユニットと異なり、ダンパーとフレームが溶剤が効かない接着剤で接着されているということもあります。

振動系(コーン紙、ダンパー、ボイスコイル)
ME150H のフレーム(振動系を取り出した状態)

当社のポリシーと修理手法

当社のポリシーのひとつに「磁気回路の徹底したオーバーホール」というものがあります。

つまり、コーンを含む振動系をフレームからいったん取り外し、ギャップなどの磁気回路を丁寧にクリーニングすることで微細なびりつきを解消したり、ボイスコイルの状態を確認しているわけですが、これはすべて濁りのないうつくしい音をより長く楽しんでいただくために行なっていることです。

当社に届く ME150H の磁気も、他の JBL のユニットと同様、酸化がかなり進行している個体ばかりです。

ME150H をお持ちの方は、可能でしたらユニットを伏せた状態で床に置き、底面の穴から覗き込んでみてください。

白いモヤモヤや赤さびがみえたら、大事なギャップ内も酸化しています。

※下記写真はお客様のお名前などを消すために一部ぼかしの画像処理をしています

JBL ME150Hを伏せておくと3つの穴が見えます
JBL ME150H を伏せた状態。穴が3つ見えます
底面の3つの穴の奥に白いモヤモヤの酸化物が確認できます
JBL ME150H を横から見ても酸化物が確認できます
振動系を取り出すと、やはりギャップにも酸化が見えます

当然オーバーホールをしなくてはなりませんが、先述の通り ME150H というユニットはダンパーとフレームの接着に、溶剤が効かない接着剤が使用されているため、ダンパーを温存したまま振動系を取り出すことができません。

振動系を剥離せずに、オーバーホールつまりギャップ内をクリーニングすることはできませんので、私たちはメーカーからリコーンパーツを入手できた間はダンパーを切り取ってしまい、オーバーホールをしたうえで純正パーツでリコーン(振動系一式まるごとの交換)をしてきました。

しかしその純正パーツも供給が完了してから数年が経ち、再生産の情報もないまま時間が経過…それでもエッジ劣化による修理ご依頼はあとをたちません。

そのためリコーンせずにオーバーホールする手法について検討を重ね、2019年4月より、当社の修理は下記の手法を採用することになりました。

  • ダンパーは温存できないため、代替品で交換
  • アクアプラス加工のエッジは入手できないため、2231Aなどと同様のウレタンエッジで貼り替え
  • 磁気回路の徹底したオーバーホール、防錆処理
  • 動作調整

使用するエッジは、JBL のウレタンエッジに準じたものを目指し専門家と相談しながら当社で作成したウレタンエッジで、2231Aなどへの使用実績はオーディオラボオガワ時代から15年以上になります。

オーバーホール後のギャップ。酸化物をきれいに除去し防錆処理を施します
JBL ME150H にウレタンエッジを貼り動作調整をした修理完了品

すでにこの手法での修理実績も多数ございます。

パーツの供給が完了した現状、これが「修理屋」としてできるかぎりの修理と考えております。

JBL が狙ったシステム全体の設計や外観とは異なってしまいますが、お客様さまご愛用の S3100 や 4344Mk2  などの素晴らしいシステムを再生させる一助となれば幸いです。

ユニット輸送箱もございます。
ご依頼品の梱包 をご参考いただき、ご希望の方はお気軽に お問い合わせ ください。